こんにちは!
浅口市の注文住宅会社Karin-houseの岡田です。
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今回は低温についてのお話です。
ヒートショックは氷山の一角
「家のつくりやうは夏をむねとすべし」。兼好法師が750年ほど前に徒然草で書き残した言葉で、「住まいは夏のことを考えて工夫しなさい」との意味です。兼好法師が生きておられたころはこの言葉が正しかったのです。しかし、今はそうではありません。冬に亡くなる方が増えているからです。
その代表として注目されているのが「ヒートショック」(室内の温度差)による心筋梗塞や脳梗塞です。消費者庁の発表では、風呂場で人が倒れて亡くなった人は、2015年で4866人です。これは救急隊が到着した時点で亡くなっていた人の数で、救急搬送されたあと病院で亡くなった人も含めると、1万7000人になると推計されています。
さらには国際的な医療専門家の調査分析結果によると、低温の影響で心臓発作や脳梗塞といった循環器系の疾患をはじめ、さまざまな病気にかかって亡くなっている人の数は、国内で推計年間12万人にのぼると判断されています。
断熱性能と健康の関連
低温については様々な健康障害の可能性が指摘されています。
私たちが累計2万人以上の新築戸建住宅に引っ越した人を対象に行ったアンケート調査の結果を簡単に紹介します。引越しの後に気管支喘息、のどの痛み、せき、肌のかゆみ、アトピー性皮膚炎、手足の冷え、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の症状が改善したと回答した人の割合(=改善率)が、断熱性能が高い住宅に引っ越した人ほど高くなることが明らかになったのです。
この結果は「低温は万病のもと」を明確に示しています。日本ではヒートショックばかり注目され問題視されていますが、そのことが低温の影響を小さく印象付けてしまっています。病気で亡くなっても低温が原因だとされないので、実態が分かりにくいのです。低温による健康障害のリスクにもっと目を向けてほしいと思います。
無意識時の低温の危険
ところが一方で「寒さによって心身が丈夫になる」といった声も聞きます。これは「夏をむねをすべし」と同様の誤った認識で、こうした認識が日本の住宅の高断熱化を阻害している最大の要因ではないでしょうか。
寒さによって心身が丈夫になるということでいえば、意識して行う、寒中水泳や寒風摩擦はその達成感から精神状態にプラスに作用されるかもしれません。ですが、人は家で無意識に過ごしているのが普通で、無意識な状態で低温にさらされると、健康障害に働いてしまうといいます。
特に危険なのが冬の夜、寒いのに暖房を切って寝ることです。冷たい空気を吸い込むことで肺や内臓、身体を冷やしてしまい、身体の中から継続的な冷えが健康に深刻な影響をもたらすことは容易に想像することができるでしょう。
交通事故より家の中の方が死亡率が高い?
「低温は万病のもと」は欧米では常識とされています。WHOは2009年「住宅と健康」の調査報告で、低温は健康障害を招くと明記しています。
イギリスは「HHSRS」という住宅における健康と安全の指針を判定、室温16℃で深刻な健康リスクが現れるとしています。冬季における寝室の平均温度を調べた日本の調査結果を見ると、大半の都市はこれを下回っています。高断熱化によって室温を高め、低温リスクを軽減するべきだと考えられています。
年間1万8000人を超え、社会問題になっていた交通事故による死亡者数は年間に4113人(2015年)に減っています。交通事故よりも家の中で亡くなる人のほうが多く(2014年で1.5万人弱)、特に断熱性能の低い家の中のほうが危険です。今まではあまり断熱のことも厳しく言われてきませんでしたが、本当はもっともっと真剣に自分の家の断熱性や気密性について考えておくべきなのです。
Karin-houseでは家づくり勉強会という、お金のことから家の性能のことまで詳しく勉強できる催しをしています。ぜひ一度ご参加してみてくださいね。