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繰上返済のタイミングはいつがいい?

こんにちは!
岡山県の注文住宅会社Karin-house(かりんはうす)の広末です!
いつもスタッフブログをご覧いただき、ありがとうございます!

今回は繰上返済についてです!

 

➢効果的に繰り上げ返済の方法は?

そもそも繰り上げ返済とはどういうことでしょうか。住宅ローンを借りる際、何年間で返済を終わらせるかを決めますが、同じ金額を同じ金利で借りたとしても、返済期間が短ければ、毎月の返済額の負担は重くなります。そのため、できるだけ長期で借りて毎月の返済額を抑えるというプランが主流です。

 

たとえば、
借入金額3000万円、金利1.0%とした場合、毎月返済額と総返済額は次のようになります(いずれも全期間固定、毎月返済のみ)。

 

20年返済 毎月返済額13万8000円 総返済額3312万円
25年返済 毎月返済額11万3000円 総返済額3392万円
30年返済 毎月返済額9万6500円  総返済額3474万円
35年返済 毎月返済額8万4700円  総返済額3557万円

しかし、長期で返済すれば、その分、支払う利息も多くなり、総返済額では短期の返済よりも多くなります。そのため少しでも利息を減らしたいということで、まとまった資金ができたときに、繰り上げ返済を行い、借入元本を減らすのです。こうすることで、その元本分の利息は支払わなくて済むうえ、返済期間も当初より短縮することができるのです。最近は、定年退職前までにローンの返済を終わらせたいと考える人も増えています。

 

では、繰り上げ返済による、利息の軽減と返済期間の短縮は、どの程度期待できるのでしょうか。借入金額3000万円、金利1.0%、返済期間35年、1年後に100万円を繰り上げ返済すると、

 

総返済額3557万円→3517万円
支払利息557万円→517万円(40万円の軽減)
返済期間35年→33年8カ月(1年4カ月短縮)

 

となります。繰り上げ返済の時期が早ければ早いほど、資金が多ければ多いほど、利息の軽減、期間短縮効果は高くなります。しかし、実際には、毎年100万円繰り上げ返済できる人はそう多くはないでしょう。1年に1回50万円、3年に1回100万円などとまとまった資金が貯まったら繰り上げ返済を行う人が多いのではないでしょうか。あるいは、今は1万円でも繰り上げ返済が可能な銀行もありますので、毎月こまめに繰り上げ返済することもできるようになっています。では、どんな返し方をするのが、トクなのか、具体的にみていくことにしましょう。

利息の軽減効果は「マメに返す」ほうが、オトク?

 

借入金額3000万円、金利1.0%、35年返済の場合で、比較してみます。1年に50万円、3年続けて繰り上げ返済する「マメ派」と、3年後に150万円を繰り上げ返済する「おまとめ派」。どちらが有利になるでしょう。

 

【マメ派】
繰り上げ返済総額 150万円(1回50万円×3年)
総返済額 3557万円→3500万円
支払利息 557万円→500万円(57万円の削減)
返済期間 35年→33年(2年の短縮)

 

【おまとめ派】
繰り上げ返済総額 150万円(返済開始3年後にまとめて1回)
総返済額 3557万円→3503万円
支払利息 557万円→503万円(54万円の削減)
返済期間 35年→33年(2年の短縮)

マメ派のほうが、支払利息では3万円ほどオトクですが、返済期間短縮効果は同じ2年という結果になりました。これは、金利が1.0%という前提のためで、金利が高ければ、マメ派の繰り上げ返済効果は高くなります。また完済するまで定期的に繰り上げ返済をしていけば、やはり利息の軽減効果は高くなります。しかし、現在の住宅ローンは、かなりの低金利。マメに繰り上げ返済しなくては!と焦らなくても、現時点での金利であれば、まとまった資金ができたときに繰り上げ返済をしても、それほど大きな差がでないでしょう。

➢金利差が1%以上あるなら、繰り上げよりも借り換えを

 

仮に1.0%で繰り上げ返済の効果を計算しましたが、2013年以前の「フラット35」の金利は2.0%程度。現在と1%の差がありました。もしも現在の金利水準より1%程度高い金利で住宅ローンを借り、繰り上げ返済を考えているなら、繰り上げ返済よりも借り換えをするべきでしょう。

 

金利2.0%、借入金額3000万円、35年返済の場合、
毎月返済額 約10万円
総返済額   4170万円

となりますが、1年後の残債2940万円を、金利1.0%、35年返済で組み直すと、

毎月返済額8万3000円
総返済額  3486万円

 

となり、当初の総返済額からは、684万円も浮かせることができるのです。

 

さらに、借り換えのときに、30年返済で組み直せば、
毎月返済額9万5000円
総返済額3405万円

 

毎月の返済額は、ほぼ現在と同じで、769万円も浮かせることができるのです。ローンの借り換えでは、登記費用などの諸費用がかかりますが、それを持ち出したとしても、利息軽減効果は非常に高いといえます。

➢繰り上げ返済の手数料には注意が必要

 

繰り上げ返済をする際に注意したいことが3点あります。

 

手数料

繰り上げ返済するときには、基本的に手数料がかかります。最近はインターネットでの申し込みの場合は無料とするところも増えています。

三菱東京UFJ銀行では、ネット申し込みなら、どの金利タイプでも無料。電話5400円、窓口1万6200円となっています。みずほ銀行もネット申し込みなら無料。電話の場合、変動金利タイプは5400円。固定金利タイプは1万800円(100万円未満の場合)。三井住友銀行もネットは無料。窓口の専用パソコンなら全金利タイプ5400円です。フラット35は、1回の繰り上げ返済額は100万円以上と条件がありますが、手数料は無料です。

 

繰り上げ返済をネットで申し込むならおおむね無料ですが、窓口を利用すると手数料がかかるケースがありますから、何度も繰り上げ返済をする場合は、事前に手数料をチェックするようにしましょう。

 

繰り上げ返済をして、住宅ローン控除が使えなくなるケース

 

住宅ローン控除の適用条件に、返済期間が10年以上というものがあります。繰り上げ返済を頑張って、残りの返済期間が10年をきると、その時点で住宅ローン減税を受けられなくなります。また、繰り上げ返済をすることでローン残高が減るため、住宅ローン減税で戻ってくるお金が減るから、住宅ローン減税の適用期間が終了する10年後に繰り上げ返済したほうがトクという考え方もあります。しかし、いずれの場合でも、本人の所得税額、住宅ローンの借入額、金利などの条件によって、結果は違ってきます。一概にどうするのがトクとは言えません。Karin-house(かりんはうす)の資金計画シミュレーションを使って、自分の場合はどちらがトクなのかを検討する必要があるでしょう。

 

繰り上げ返済は、あくまでも余裕資金で行うこと

 

子どもの教育費の目途は立っている、生活費の予備費は準備できているというのなら、余裕資金を繰り上げ返済に回すのもいいのですが、あてにしていたボーナスが減ってしまった、収入が思ったほど上がらなかった、金利上昇で毎月の返済額が増額する可能性がある、そんなケースが想定される場合は、無理をして繰り上げ返済せず、手元資金として運用しておくほうが賢明かもしれません。できるだけ早く返してしまいたい住宅ローンですが、繰り上げ返済で家計が回らなくなってしまっては元も子もありません。

 

さまざまな観点からシミュレーションして、慎重に行うように心がけてください。